日本は、過去百年間、西洋文化を吸収し、東西両洋の間に立って国際的発展を遂げた。
この発展にあたって、アメリカという国におけるその文化が、日本に与えた影響は、はかり知れないものがある。よきにつけ悪しきにつけ、アメリカを別にしては日本の近代文化を考えることはできない。
それにもかかわらず、今日においても、日本人のアメリカに対する研究、政治、経済およびその基礎をなす文化の実情を充分に掘りさげた知識は遺憾ながら極めて乏しい。
最近における日本の国家的悲劇もこのような無知によるところが大きいが、戦後においても大局的には旧態依然たるものがある。
今後の日本の国運は、政治と言い、経済と言い、文化と言い、あらゆる面が海外諸国との協力提携にかかっている。
このような現実的な欠陥に対処するためには、アメリカを中心とする海外諸地域に関する着実な学問的研究を推進することが何よりも急務である。
以上の諸点に思いをいたし、財団法人アメリカ研究振興会を設立し確固たる基礎のもとに、アメリカの政治、経済ならびにその基礎をなす文化に関する調査研究を奨励援助し、あわせてアメリカ研究の振興をはかり、もって学術文化の向上発展に寄与しようとする次第である。